パパまるハウス

  • 火災

コラムタイトル

家族のためのマイホームを建てるとき。火災保険の賢い選び方

リード

マイホームは、家族が笑顔で過ごすためのかけがえのない場所です。念願のマイホーム購入により、人生最大ともいえる資産を得たことになります。そして、大切な住まいを守るためにも、火災保険は万一に備える強い味方となるでしょう。だからこそ、きちんと理解したうえで、しっかりと確保しておきたいものです。

ただし、火災保険の加入にあたっては、補償の種類も多く、その補償範囲も異なるため、迷う方が多いようです。本記事では、戸建てのマイホーム購入を想定し、火災保険の賢い選び方、考え方を解説します。

    • 火災
コラムサマリ

★この記事は約8分で読めます。

・主な保険金の支払い事例から考える。マイホーム取得で検討する火災保険の役割。

・火災保険は住宅ローン利用なら必須。ただし保険は自由に選択できる。

・気になる保険金額の設定は、家財簡易評価表も参考に「再調達額」から設定しよう。

ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。

ご不明な点等がある場合には、保険代理店までお問い合わせください。

本文

■マイホームの取得で考える火災保険で備えるということ

人生における大きな買い物といえば、住宅はその最たるものでしょう。購入にともない多額の預貯金を取り崩した方も住宅ローンを利用した方も、大切なマイホームが火災にあってしまったら、その経済的損失の大きさは測り知れません。そうしたリスク対策の手段として、火災保険があります。

一般的に「火災保険」とよばれる保険は、火災をはじめとするさまざまな偶然な事故により保険の対象(マイホーム)に発生した損害や費用を補償するものです。具体的には、風災・雹(ひょう)災、雪災などの風災リスク、水災リスク、盗難・水濡れ等リスク、破損等リスクが考えられます。

・保険がなかったら……。万一の時に大きな損失が

相次ぐ台風やゲリラ豪雨などによる被害をニュースなどで目にする機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。一般社団法人日本損害保険協会「風水害等による保険金の支払い(2022年3月末時点)」によると、実際に近年、支払件数も支払保険金の額も大きな損害が発生しています。

▽風水害等による主な保険金の支払い事例

時期

災害

地域

支払件数

支払保険金

2019年10月6日~13日

令和元年台風19号

東日本中心

295,186件

5,181億円

2019年9月5日~10日

令和元年台風15号

関東中心

383,585件

4,398億円

2018年9月3日~5日

平成30年台風21号

大阪・京都・兵庫等

857,284件

9,363億円

※支払保険金は火災保険(新種含む)、見込みを含む

出典:日本損害保険協会「過去の主な風水害等による保険金の支払い(2022年3月末時点)」

火災でマイホームが焼失してしまった場合の建て直しや自然災害による修繕費用には、多額の資金が必要です。状況によっては、住宅ローンの支払いが二重になる可能性もあります。上記データからも、こうした損害への備えとして、住宅の取得にあたり火災保険への加入は必須と言えるでしょう。

・住宅ローン利用なら火災保険は必須。ただし自由に選択できる

住宅ローンを利用してマイホームを購入するケースは多いでしょう。万一の災害により損害を受けた場合でも住宅ローンの返済はなくなりません。貸す側、つまり金融機関としても、返済が滞ることの防止策として、火災保険の加入を融資の条件とする場合があります。ただし、金融機関は火災保険の詳細までは言及しません。ですから、補償内容については、自由に選択できると考えてよいでしょう。

■火災保険で対応できる補償範囲は「建物」と「家財」それぞれ

火災保険では、保険の対象として「建物」と「家財」を別々に契約します。「建物のみ」「家財のみ」でも加入できますが、自宅建物内にある家具や電化製品、衣類等などの損害についても同時に備える必要があるため、基本的には「建物+家財」での申込みが適切でしょう。

●火災だけではない、補償の範囲

前述のとおり、火災保険は、風災や水災など自然災害による損害も補償の対象です。キッチンやお風呂といった給排水設備に生じた事故による水濡れや、他の戸室で生じた事故による水濡れにも、水濡れとして対応します。火災保険が補償対象とする主なリスクについて、以下にまとめました。確認してみましょう。

▽火災保険の主な補償対象

リスク

補償対象

火災リスク

火災、落雷、破裂・爆発

風災リスク

風災、雹(ひょう)災、雪災

水災リスク

水災

盗難・水濡れ等リスク

水濡(ぬ)れ

衝突等

騒擾(そうじょう)等

盗難

破損等リスク

破損

ただし、地震や噴火またはこれらによる津波、また、戦争や暴動などは対象外です※。地震については、生活再建を目的として地震保険を付帯することで備えます。

※地震や噴火またはこれらによる津波を原因とする火災の場合は地震火災保険金が支払われる場合があります。

■火災保険の賢い選び方。保険金額はどう設定すればいい?

火災保険に加入するにあたり、悩みどころとなるのが保険金額の設定です。とくにローンを組んでいるとローンの借入額に注目しがちですが、保険金額を設定するときは、ローンの借入金額ではなく「再調達価額」で設定することが重要です。

・保険金額はローンの借入金額ではなく「再調達価額」で設定する

再調達価額は、支払われる保険金の額を算出するための基準でもあり、建物の場合、同程度の建物を建てるとしたらいくらになるか、という建物の評価額を意味します。

ローンの借入金額で設定すると、頭金分が差し引かれるため評価額と差が生じてしまいます。また、土地代を含めたローンである場合には、建物の評価額を上回り、過剰となります。つまり、建物を建て直すための適正な費用として「再調達価額」を設定する必要があるのです。

また、建物の保険の対象に門・塀・垣や物置・車庫等の付属建物を含める場合には、それらも価額に含めて設定する必要があります。戸建ての場合には、これらを含めることが一般的ですが、保険申込書に「含めない」ことを選択できる場合がありますので確認しましょう。

・家財保険はしっかり検討したい

建物のみの契約では、家財の損害は補償されません。自宅内を見回すと、大切な家財や電化製品は多いことでしょう。また、被害が発生した後の生活再建を考えると、補償の確保は当然で、保険金額についても、適正な額を備えておきたいものです。

以下は、大手保険会社が公開している建物の専有面積別の家財評価表です。1つの目安として、ご自宅の家財について考えてみましょう。

▽家財簡易評価表 ※令和1年(2019年)10月1日以降始期契約用

建物所有形態

~33㎡未満

33~66㎡未満

66~99㎡未満

99~132㎡未満

132㎡以上~

所有

580万円

960万円

1,210万円

1,580万円

1,930万円

賃貸

350万円

640万円

900万円

1,150万円

1,420万円

※高額貴金属等の評価額は含まれておりません

とは言え、「適正」の基準は、人により異なります。現状の価額で同等の家財を買い揃えるのか、被災後は中古でも最低限必要な家財だけ揃えられればいいなどさまざまです。そうした価値観についても家族で考えたいものです。

・戸建てなら補償のパッケージ加入が便利

各保険会社で名称や範囲などに若干の相違はあるものの、破損等の対象可否などにより3パターン程度の契約プランがパッケージ化されています。

マイホームの周辺環境などにもよりますが、戸建てですから、水災は対象としつつも、保険料負担を抑えたいのであれば破損等リスクを省いたプランなどが考えられます。角地に所在する建物で外部からの衝突にも備えたいという意向があれば衝突等も補償対象とするプランなど、パターンの中から選択すると悩まずに判断できます。

■火災保険とともに、加入を検討したい地震保険

これまでの被害状況や今後の大規模地震の発生確率をふまえると、地震保険は加入すべきかと思われます。火災保険では、地震等による損害は、補償されません。地震等による火災の場合は地震火災費用保険金を受け取れる可能性はありますが、津波を含む水害、破損については、地震保険で備える必要があります。

地震保険は、単体で契約することはできず、火災保険に加入していることで付帯できる補償です。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で、建物は上限5,000万円、家財は上限1,000万円までと決められています。これは、地震保険は、地震等による被災者の生活の再建を目的とする保険だからです。しかしながら、保険料負担も大きいため、地震保険の加入を躊躇する方も多いのが現状です。

■マイホームで検討する火災保険、加入のタイミングはいつ?

マイホーム購入にあたっては、手付金、土地代、着手金、建物工事費用などのほか、登記費用やローン手数料などの諸費用と、当初思っていた以上に出費がかさむものです。必要資金の確保をする意味でも、できるだけ早い段階で、火災保険の補償内容や期間、支払方法などについて検討しておきたいものです。

建物の引き渡しで鍵を受け取った時点でマイホームに関する責任は自分自身が負うことになります。保険開始日は、物件の引き渡し日に設定するのが適切でしょう。物件の引き渡し日が決まった時点で、保険開始日を引き渡し日にあわせて、事前に申込み手続きができればスムーズです。

引き渡しまで日数がある場合の申込みでは、保険証券など保険会社からの郵送物の送り先に注意が必要です。居住前に新しい住所にすると、宛先不明で郵便物が届かないなどトラブルになることもあり得ますので、旧住所への郵送や送付日の指定など担当者と相談、確認するとよいでしょう。

建物の引き渡し時に、諸々の手続きとともに火災保険の申込みをするケースも多くあります。さまざまな書類への署名や押印、説明等で、つい確認の優先順位が下がってしまうかもしれませんが、保険も大切なマイホームのための大切な手続きです。落ち着いて、不明点は質問しつつ、納得したうえで手続きを進めましょう。

■まとめ

夢のマイホーム購入時に、もしもの場合について考えるなんて、と思うかもしれませんが、大切な家族の居場所を守るためにも、安心の備えを検討したいものです。火災保険は、加入することが目的ではなく、自然災害をふくめたリスクに対して、可能なかぎり、これまで通りの生活を維持できるよう補償を確保することが目的です。

補償を手厚くすれば安心につながりますが、保険料負担は大きくなります。家の構造や周辺環境によっても、またそれぞれの価値観によっても、リスクは異なります。充実しすぎても無駄になりますし、不足の場合は被害を受けたうえに出費がかさむことになります。家計ともよく相談のうえ、自分自身が納得のいく保険選びを目指したいものです。

この記事の執筆協力

執筆者名

大竹麻佐子

執筆者プロフィール

証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て独立。相談・執筆・講師活動を展開。ひとりでも多くの人に、お金と向き合うことで、より豊かに自分らしく生きてほしい。ファイナンシャルプランナー(CFP©)ほか、相続診断士、整理収納アドバイザーとして、知識だけでない、さまざまな観点からのアドバイスとサポートが好評。2児の母。ゆめプランニング URL:https://fp-yumeplan.com/

募集文書管理番号
0216-29A1-B22209-202303

関連コラム

  • 火災

    【漫画で分かる】家財補償の大切さ

    この漫画は、火災保険の家財補償についてのお話です。

  • 火災

    マイホームの火災保険で悩む「家財補償」。300万円で足りる?いくらかければいいの?

    マイホームの万一に備える火災保険は、対象を「建物」と建物内にある「家財」に分けて補償を考えます。「建物」については当然に契約するものの、「家財」については補償額をどうするか、そもそも契約すべきかについて悩むケースがあるかと思います。「家財」の補償範囲や補償金額の設定について、結婚や出産で家族が増えたときを想定し、安心できる補償の考え方を解説します。また、よく言われる300万円の補償金額設定の真偽についても検証してみましょう。